基礎ゲンゴロウ学

ゲンゴロウ科

ケシゲンゴロウ亜科 Hydroporinae

10族からなり、日本産は5族。メクラゲンゴロウ属は族不明。

族 Bidessini

世界に49属。日本産は4属。

Allodessus Guignot, 1953

チャイロチビゲンゴロウ属

オーストラリアから日本にかけて4種とイースタ-島(チリ)に1種の小属。日本産1種。

Allodessus megacephalus (Gschwendtner, 1931)

チャイロチビゲンゴロウ

中国南部、台湾、琉球列島~北海道(渡島半島)に分布し、海岸近くにのみ生息する。海流による分布拡散が暗示されるが、遠洋で検出されたという報告は聞かない。また、とてもよく飛ぶ種類らしい ( 楠井・宮城 2012 ) が、なぜ内陸に分布を拡大しないのか不明。

属名として当初 Bidessus Sharp, 1882 、その後 Liodessus Guignot, 1939 が使われた。両属名とも現在も適格名だが、ともに国内には分布しない。

Hydroglyphus Motschulsky, 1853

チビゲンゴロウ属

長く Guignotus Houlbert, 1934 が使われたが、現在は上記属名のシノニムになっている。100年以上使われなかった名称なので遺失名とすべきという考えもあった ( 佐藤 1984 ) ようだが上記で定着している。

ユーラシア南部、アフリカ、オーストラリアから90種が記録されている。日本産5種。

Hydroglyphus amamiensis (Satô, 1961)

アマミチビゲンゴロウ

Hydroglyphus japonicus (Sharp, 1873)

チビゲンゴロウ

チビゲンゴロウの斑紋変異
チビゲンゴロウの斑紋変異

前者は後者の亜種として記載されたが、 Nillson et al. (1995) は独立種とした。トカラ列島中之島と宝島の間に分布の境界があるとされるが、普通種ゆえに十分に検証されているとは言い難い。

チビゲンゴロウは上翅斑紋の変異が著しいが、アマミチビゲンゴロウについては情報が乏しい。

Hydroglyphus flammulatus (Sharp, 1882)

アンピンチビゲンゴロウ

現在の日本領からは記録が無かったが、 上手ほか (2003) により八重山諸島で確認され、更に九州、四国、隠岐諸島からも記録された。ただし本土の記録は今のところ単発で、極めてまれな在来種なのか、何らかの移動手段による侵入種なのか不明。

Leiodytes Guignot, 1936

マルチビゲンゴロウ属

Clypeodytes Régimbart, 1894 の亜属であったが現在は属として扱われている。 アフリカ中南部、インド、東南アジアから日本にかけて30種ほど知られる。日本産4種。

Leiodytes kyushuensis (Nakane, 1990)

ナガマルチビゲンゴロウ

Leiodytes miyamotoi (Nakane, 1990)

ホソマルチビゲンゴロウ

前者は鹿児島県産で記載の後、熊本、福岡、宮崎の九州各県と岡山県での記録があったが、その後大阪府、和歌山県からも報告され、兵庫県産の古い標本も確認された。後者は福岡県産で記載、熊本県、静岡県から知られていたが、こちらも最近京都府、群馬県で発見されている。どちらも大きく分断され、かつ限られた分布の種と考えられていたが、徐々にではあるが新産地が見つかっている。体長2mm弱の微小種なので見過ごされていたものと思われるが、このあたりの事情はキボシチビコツブゲンゴロウと似ている。

Limbodessus Guignot, 1939

ナガチビゲンゴロウ属

80種近くが知られるがほとんどの種がオーストラリアの固有種で、その多くが地下水性。 Watts and Humphreys (2009) には60種が地下水性種としてリストされている。

日本産1種。

Limbodessus compactus (Clark, 1862)

ナガチビゲンゴロウ

日本では Satô (1972) がトカラ中之島から Uvarus tokarensis Satô, 1972 として記載したが、オーストラリア周辺から知られる上記種のシノニムとされた ( Balke and Satô 1995 ) 。国内では琉球列島に点々と分布するが、ボルネオ、フィリピン、台湾等からは記録がないようで、オーストラリア付近との間に広大な分布の空白がある。

族 Hydroporini

Miller and Bergsten (2014) により4亜族に分けられた。世界に51属、日本産は2亜族で5属。

以前より奇妙なグループとされていたアフリカの Canthyporus Zimmermann, 1919 と南米の Laccornellus Roughley & Wolfe, 1987 の2属は 族 Laccornellini として分離された ( Miller and Bergsten 2014 ) 。

亜族 Deronectina

世界に20属、日本産4属。主に全北区の流水性種からなるが、一部の種は中米やアフリカ中南部にも分布する。

Fery and Ribera (2018) は本亜族を見直し、多くの新属を設けるなど分類的に大きな変更を行った。同時に分子系統では過去の解析 ( Ribera et al. 2008 , Miller and Bergsten 2014 ) と異なり Deronectes Sharp, 1882 が Hydoroporina の姉妹群という結果になり、今後の課題となるだろう。

Nebrioporus Régimbart, 1906

シマチビゲンゴロウ属

全北区とアフリカの一部に約60種。

流水性ゲンゴロウを代表するグループだが、ヨーロッパの N. ceresyi (Aubé, 1838)N. baeticus (Schaum, 1864) の2種は高塩分濃度の陸水に棲むことが知られる。

日本産の本属の種は以前は Potamonectes Zimmermann, 1921 として知られていたが、 Nilsson and Angus (1992)Deronectes グループ*の見直しを行い、一部の種を Stictotarsus Zimmermann, 1919 に、日本産全種を含む残りを Nebrioporus とした。

*Deronectes グループ:現在の Deronectina に相当。

Nectoporus Guignot, 1950

マルガタシマチビゲンゴロウ属

全北区に9種。

長く Oreodytes Seidlitz, 1887 の中の一群とされてきたが、 Fery and Ribera (2018) はこの小型で丸みの強いグループを単系統と認め、北米の N. abbreviatus (Fall, 1923) に対して設けられた属名を適格とした。

Nectoporus sanmarkii sanmarkii (C. R. Sahlberg, 1826)

マルガタシマチビゲンゴロウ

旧北区では北部に広く分布する。北米でも主にロッキー山脈沿いから記録されていたが、その大部分は近似の別種 N. obesus (LeConte, 1866) として分離され、本種は周極地方にわずかな生息地が知られるだけとなった。

斑紋の変異の大きい種だが、イベリア半島の個体群は亜種 N. sanmarkii alienus (Sharp, 1873) とされる。

Nilsson and Kholin (1994) は本州産4♀を検し、後胸腹板、後基節の点刻が粗く、旧北区他地域のものと明らかに異なり分類的位置の検討が必要としている。

Neonectes J. Balfour-Browne, 1940

ゴマダラチビゲンゴロウ属

旧北区東部に3種。

以前もこの属名が使われていたが、幼虫形態から Oreodytes Seidlitz, 1887 との類縁が指摘され ( Alarie et al. 1996 など) 、 Kholin and Nilsson (2000) 以来シノニムとして扱われていた。最近になって Fery and Ribera (2018) は Deronectina の見直しを行い再びこのグループを分離、 Neonectes の属名を復活させた。なお、命名者を Zimmermann とする場合があるが、これはタイプ種の指定が無いため無効。

Neonectes natrix (Sharp, 1884)

ゴマダラチビゲンゴロウ

ゴマダラチビゲンゴロウ

北海道、本州、四国。流水性種だが完全な止水の福井県夜叉ヶ池には安定して生息し、こうした例は他地では知られていない。

海外での分布は中国、朝鮮半島、ロシア極東。国内産と異なり大陸のものは前胸背板の黄白色紋が側縁で発達する。

Oreodytes Seidlitz, 1887

コガタノシマチビゲンゴロウ属

全北区に14種。

Fery and Ribera (2018) によって従来この属に含められていた種は6属に分けられ所属種数が半減した。日本産ではマルガタシマチビゲンゴロウ、ゴマダラチビゲンゴロウが分離されている。

Oreodytes kanoi (Kamiya, 1938)

カノシマチビゲンゴロウ

トビケラ幼虫?の死骸に群れていたカノシマチビゲンゴロウ

長野県上高地から記載され長く特産種とされてきたが、現在は中部以北の本州に点々と生息地が知られている。

Nilsson and Hájek (2019b) では日本固有種となっているが韓国に生息するという情報もある ( Jeong et al. 2010 )。

亜族 Hydroporina

世界に7属、日本産1属。止水性の北方系種からなるが、一部メキシコやフロリダまで分布する。

Hydroporus Clairville, 1806

ナガケシゲンゴロウ属

歴史の古い属で多くのグループが別属として分離されてきたが、現在も190種ほどの大所帯。日本産は9種とされる ( 森・北山 2002 ) が再検討が必要。

北米の Hydroporus polaris Fall, 1923 はエルズミーア島(カナダ)の北緯80°付近でも記録があり、最北のゲンゴロウ。

Hydroporus angusi Nilsson, 1990

アンガスナガケシゲンゴロウ

ロシアのバイカル湖付近から記載された後、ロシア極東部、中国吉林省、モンゴル、北海道から記録されている。北海道での生息地は一部の湿原のみ。

オス交尾器中央片は側縁が丸く張り出し側片先端部の形状とあわせ本属中でも特異。この特徴はヨーロッパ中北部からロシア西部に分布する Hydroporus neglectus Schaum, 1845 と共通で代置種関係と思われる。

Hydroporus fuscipennis Schaum, 1867

サロベツナガケシゲンゴロウ

全北区に分布し、国内では北海道、青森県から知られる。

Nilsson and Satô (1993) によると検した北海道産の平均体長は比較した他地域のものよりも明らかに大きかったという。

Hydroporus morio Aubé, 1838

ワタナベナガケシゲンゴロウ

全北区に分布し、国内では大雪山のみから知られる。

日本産は H. watanabei Takizawa, 1933 として知られていた。

Hydroporus tokui Satô, 1985

トウホクナガケシゲンゴロウ

宮城県から記載され、本州北東部と北海道渡島半島に分布。現状では海外からは知られておらず日本特産種。ただし極めて近縁と思われる Hydroporus hygrotoides Fery, 2000 が中国江西省、湖南省から記録されている。

種小名は渡部 徳氏に献名されたもの。

Hydroporus tristis (Paykull, 1798)

ラウスナガケシゲンゴロウ

ラウスナガケシゲンゴロウ

全北区に分布。国内の分布は北海道東部のみとされる ( 森・北山 2002 ) が情報が少なく、体型の似ているナガケシゲンゴロウ H. uenoi やウスイロナガケシゲンゴロウと混同されている可能性が高い。

Hydroporus ijimai Nilsson & Nakane, 1993

ウスイロナガケシゲンゴロウ

Hydroporus uenoi Nakane, 1963

ナガケシゲンゴロウ

ナガケシゲンゴロウ
ナガケシゲンゴロウ - 前胸背板に明瞭な横帯を具えるタイプ。

長野県から記載された H. uenoi に対し、 Nilsson and Nakane (1993) は北海道産の内、前胸背側縁の丸みが強いものを H. ijimai と命名して区別した。一方、 Nilsson and Satô (1993) はこの2種は難解な複合種を成し、サイズ、色彩、微細印刻、体型の変異が大変大きく、かつ連続していて多くの個体を検討すると明瞭に区別できないとしている。 森・北山 (2002) では本州産を H. uenoi 、北海道産を H. ijimai としたが、本文中にも記されている通り便宜的といわざるを得ない。しかし国内で影響力の大きいこの図鑑の記述が一人歩きして単純に採集地から種名を当てることがまかり通っている。

上記の Nilsson and Satô (1993)Hydroporus uenoi complex とした種群は日本の中部以北の他、中国、モンゴル、ロシア東部にも分布する ( Nilsson and Hájek 2019b ) らしく、複数の種が混同されている可能性が高い。 また中国四川省から記載されている Hydroporus nanpingensis Toledo & Mazzoldi, 1996 も恐らくこの複合種に含まれるだろう。

なお、地理的に隔絶しているがヨーロッパに広く分布する Hydroporus gyllenhalii Schiødte, 1841 もこれらの種に良く似ている。

旧北区北部に広く分布するチャイロナガケシゲンゴロウ Hydroporus umbrosus (Gyllenhal, 1808) が北海道札幌から記録されている ( Takizawa 1933 ) が、標本を検した 森・北山 (2002) によるとやはりこの複合種の範疇のようで、誤同定と思われる。

族 Hydrovatini

マルケシゲンゴロウ属と Queda Sharp, 1882 の2属からなる。後者は南米北部の熱帯雨林に3種のみ知られる。

Hydrovatus Motschulsky, 1853

マルケシゲンゴロウ属

世界の熱帯から亜熱帯にかけてと、温帯の一部に200種余り分布する。ただし南米にはごく少数の種が見られるだけ。一方アフリカでは繁栄していて7割以上の種が分布している。

上翅端、腹端が突出する形態はゲンゴロウ類の中では特異で、同様の形態を持つ 族 Methlini* との関連が指摘された ( Wolfe 1988 ) こともあるが、近年の遺伝子研究では特に近縁というわけではなさそう ( Ribera et al. 2008 , Miller and Bergsten 2014 ) 。

腹端が本属以上に突出する 族 Methlini*Celina Aubé, 1837 は、とがった腹端を水草の根や茎に挿し込み植物組織中から酸素を得ているのではないかと推測されている ( Hilsenhoff 1994 ) 。またコツブゲンゴロウ科のキボシチビコツブゲンゴロウでは飼育環境下で実際にそれらしき行動が観察されている ( Kudo and kojima 2010 ) 。本属の種も同様の呼吸法を行っている可能性もある。

本属には著しく触角が長く伸びた種がいるが遊泳にはじゃまになるだろう。また、後肢に比べて前、中肢が強壮で一部の地下水性種を彷彿させる種もあり、ほとんど遊泳せず匍匐生活をしているように思われる。上記のような水生植物に依存した呼吸法ならば空気交換のために水面に浮上、再び潜水の必要が無いので、こうした種は遊泳に適応した体型を放棄、匍匐生活に特化したとも考えられる。

*族 Methlini :ケシゲンゴロウ亜科。北米西部から南米北部の Celina Aubé, 1837 と、アフリカから西アジア、インドの Methles Sharp, 1882 の2属からなる。

Hydrovatus japonicus Takizawa, 1933

ヒメマルケシゲンゴロウ

四国 "Iyo" から1♀で記載された。頭楯前縁が明瞭に縁取られるのが特徴とされるが、 森・北山 (2002) は多数の愛媛県、高知県産を検討した結果、マルケシゲンゴロウと区別できるものは見つけられなかったという。本属の種の識別は♂交尾器が重要なポイントになるようで、1♀による記載は拙速であった。

族 Hygrotini

ユーラシア、アフリカ、北米に分布する。約140種。

本族は最近まで4~5属が認められていたが、 Villastrigo et al. (2017) は2属にまとめた。

Coelambus については下記参照。)

  • (Coelambus Thomson, 1860)
  • Heroceras Guignot, 1950
  • Herophydrus Sharp, 1880
  • Hygrotus Stephens, 1828
  • Hyphoporus Sharp, 1880

  • Clemnius Villastrigo, Ribera, Manuel, Millán & Fery, 2017
  • Hygrotus Stephens, 1828

Clemnius はユーラシアに広く分布する1種と北米の7種の小属。日本産は Hygrotus のみ。

Hygrotus Stephens, 1828

キタマダラチビゲンゴロウ属

CoelambusHygrotus の亜属とするか、別属かの論争が続いていた。

森・北山 (2002)Miller and Bergsten (2016) は別属としていたが、一般的には亜属とするのが主流だった ( Nilsson and Holmen 1995 など ) 。

上記 Villastrigo et al. (2017)Hygrotus を4つの亜属に分けた。

  • H. (Coelambus) Thomson, 1860
  • Hygrotus s. str.
  • H. (Hyphoporus) Sharp, 1880
  • H. (Leptolambus) Villastrigo, Ribera, Manuel, Millán & Fery, 2017

日本産は4種で、 Hygrotus s. str.H. (Leptolambus) の2亜属。 

海外には汽水域や塩湖に生息する種も多い。

Hygrotus chinensis (Sharp, 1882)

シマケシゲンゴロウ

北海道、本州、九州。韓国、中国、ロシア沿海州。

Hygrotus impressopunctatus (Schaller, 1783)

カラフトシマケシゲンゴロウ

北海道。全北区。

両種とも CoelambusHygrotus の亜属か別属かによらず)とされてきたが、上記の変更の結果ともに H. (Leptolambus) となった。

カラフトシマケシゲンゴロウは国内では北海道のみから知られるが、広域分布種なので本州や九州にいないとも限らない。

Hygrotus inaequalis (Fabricius, 1777)

キタマダラチビゲンゴロウ

旧北区に広く分布する。 Hygrotus s. str.

Hygrotus rufus (Clark, 1863)

タマケシゲンゴロウ

Herophydrus Sharp, 1880 として知られてきたが、 Hygrotus s. str. となった。

族 Hyphydrini

世界の熱帯から温帯に14属390種ほど知られる。日本産4属。

本族として扱われることが多かった新大陸熱帯域の Pachydrus Sharp, 1882 とアフリカの Heterhydrus Fairmaire, 1869 は族 Pachydrini として分けられている。

Allopachria Zimmermann, 1924

キボシケシゲンゴロウ属

北海道から南西諸島、インド北部、東南アジア、中国から50種近く知られる。

日本産は HyphydrusMicrodytes として記載されたが、後に Nipponhydrus Guignot, 1954 が設けられ、しばらくの間日本固有属とされていた。しかし Nilsson and Wewalka (1994) はこれを Allopachria のシノニムとした。

なお Allopachria の性別は女性なので属名の変更に伴い種小名も以前の男性形から女性形に変わっている。

Allopachria flavomaculata (Kamiya, 1938)

キボシケシゲンゴロウ

キボシケシゲンゴロウ

上翅斑紋に変異があり、 佐藤 (1958) は型名を付けている。

Dimitshydrus S. Uéno, 1996

メクラケシゲンゴロウ属

現在の所愛媛県の1か所だけから、1種のみ知られる。地下水性種。

Dimitshydrus typhlops S. Uéno, 1996

メクラケシゲンゴロウ

発見当初は唯一の Hyphydrini の地下水性種として注目されたが、その後中国海南島から Microdytes trontelji Wewalka, Ribera & Balke, 2007 が記載されている。

Hyphydrus Illiger, 1802

ケシゲンゴロウ属

ユーラシア、アフリカ、オーストラリアに広く分布するが、シベリア地域にはいない模様。新大陸には代わって、体型は似るが小型の Desmopachria Babington, 1842 が分布する。世界に約140種。日本産5種。

丸く、ぽってりと分厚い体型は水の抵抗が大きく遊泳に適さないように思えるが、クルクルと自在に、そして素早く泳ぎ回る。

Hyphydrus japonicus japonicus Sharp, 1873

ケシゲンゴロウ

北海道~九州。水田やため池など身近な水域で普通に見られたが、2000年代以降激減した。

海外ではロシア極東、朝鮮半島、中国に分布するが、中国、北朝鮮のものは亜種 H. j. vagus Brinck, 1943 とされる。

Hyphydrus laeviventris Sharp, 1882

ヒメケシゲンゴロウ

泳ぐヒメケシゲンゴロウ
上翅暗褐色紋の発達した個体

近縁のケシゲンゴロウは水田やため池でよく見られるが、本種はより貧栄養な水域を好むらしい。また上翅の暗褐色紋の発達具合には変異が見られ、北日本ではこの紋が大きく発達して全体的に黒っぽく見える個体が多いように感じる。

日本固有種。北海道渡島半島から九州まで分布するが、北海道と青森県のものは亜種 H. l. tsugaru Nakane, 1993 として分けられている。

Hyphydrus lyratus lyratus Swartz, 1808

タイワンケシゲンゴロウ

インドから東南アジア、中国、オーストラリア。4亜種に分けられ日本産は基亜種とされる。

オスの腹部腹板第3節中央に後方に向いた突起がある。恐らく交尾の際に使われるものと思われるが、本属中はもとよりゲンゴロウ科全体の中でも特異。

Microdytes J. Balfour-Browne, 1946

チビケシゲンゴロウ属

日本の南西諸島、中国、東南アジア、インドから約50種知られる。

中国海南島から知られる M. trontelji Wewalka, Ribera & Balke, 2007 は洞窟内の水流から発見された地下水性種。

Microdytes uenoi Satô, 1972

ウエノチビケシゲンゴロウ

西表島から記載されたが、最近奄美大島からも見つかった。海外では台湾から中国南部に広く分布する。

族不明

Morimotoa S. Uéno, 1957

メクラゲンゴロウ属

地下水性の日本固有属。近畿と四国から3種が記載されている。

Morimotoa phreatica S. Uéno, 1957

メクラゲンゴロウ

大きく分けて兵庫県姫路市付近、京都府福知山市付近、京都市の3か所から知られ、姫路市付近のものが基亜種で、後の2か所のものは亜種 M. p. miurai S. Uéno, 1957 とされる。

ゲンゴロウ科

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