基礎ゲンゴロウ学

コツブゲンゴロウ科

種名索引

コツブゲンゴロウ亜科 Noterinae

族 Noterini

日本産 3属。 3属とも形態的に良く似ているように思えるが、 Baca et al. (2017) の分子系統解析の結果ではチビコツブゲンゴロウ属とコツブゲンゴロウ属が姉妹群になっている一方ツヤコツブゲンゴロウ属は系統的に少し離れている。

Canthydrus Sharp, 1882

ツヤコツブゲンゴロウ属

アフリカから東南アジア、オーストラリア、東アジア。日本は分布の北限付近と思われる。

本科最大の属で 70種近く知られる。

本属は南米に多い Hydrocanthus Say, 1823 と共に幼虫大顎にゲンゴロウ科幼虫に見られるような導管を持つとされる。

Neohydrocoptus Satô, 1972

チビコツブゲンゴロウ属

アフリカから南アジア、東南アジアに多く、一部オーストラリアからも知られる。約 30種。日本は分布の北限と思われる。

Neohydrocoptus bivittis (Motschulsky, 1860)

キボシチビコツブゲンゴロウ

佐藤 (1971) に記されている Hydrocoptus sp. が国内初の報告と思われる。その後他地での記録はほとんど無かったが、 1990年代後半から各地で発見され、現在では関東以西、九州まで点々と生息地が知られる。

海外ではインドから東南アジア、中国、台湾と広く知られるが、 森・北山 (2002) はタイ産と比較して別種の可能性を示唆している。

相本 (2017) の山口県からの報告によると多産が確認された溜池のひとつは 10数年前に外来魚駆除のため水抜きがなされ一時的に完全に乾燥地化していたといい、現在の個体群は近隣の生息地からの移動個体に由来する(回復した?)可能性がある。本種は灯火への飛来もいくつか報告されている ( 岩崎・木野田 1995 , 信太 1998 など) ことも考え合わせると、局地的な生息情報とは相反するがよく飛翔分散する種なのかもしれない。

Neohydrocoptus subvittulus (Motschulsky, 1860)

チビコツブゲンゴロウ

国内(南西諸島)での分布は、 佐藤 (1984a) によって知られることとなったが、N. subvittulus は上翅の斑紋が異なるようで再検討が必要かもしれない。

Neohydrocoptus sp.

ムモンチビコツブゲンゴロウ

森・北山 (1993) によって和名が新称され知られるようになったが現在に至るまで学名は決定されていない。静岡県から九州さらに屋久島、種子島まで分布するが生息地は極めて局地的。また八重山諸島に類似種がいるともいう。

Noterus Clairville, 1806

コツブゲンゴロウ属

熱帯から亜熱帯に多い本科にあって北方で分化したグループ。旧北区に 7種知られる。

Noterus japonicus Sharp, 1873

コツブゲンゴロウ

コツブゲンゴロウの交尾行動
メスを捕まえたオス。この体勢からどうやって交尾にいたるのか不明。

ヒメゲンゴロウ、コシマゲンゴロウ、ケシゲンゴロウといった水田的環境を好むかつての普通種はいずれも 2000年代に入ってから激減したが、本種は以前に変わらず水田を泳ぎ回る姿が見られる。ただし大都市圏ではやはり減っているようで、神奈川県では絶滅危惧種に選定されている。

コツブゲンゴロウ科

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