基礎ゲンゴロウ学

ゲンゴロウ科

種名索引

ヒメゲンゴロウ亜科 Colymbetinae

いくつかの小族があったが、現在は Colymbetini 1族にまとめられている。

族 Colymbetini

極地を除き全球的に分布する。11属に分けられ、日本産は 2属。

Colymbetes Clairville, 1806

ヒラタヒメゲンゴロウ属

本属の種は上翅を横切る指紋様の縮刻を具えるという世界のゲンゴロウ類の中でも特異な特徴を持つが、中国の Colymbetes minimus Zaitzev, 1908, 中東の Colymbetes piceus Klug, 1834 はこの縮刻を欠くという。

全北区に 20種ほど分布する。かなりの高緯度にも生息し、グリーンランドにもいるらしい。現在の日本領内には分布しないと思われていたが、1990年代になって 1種が報告された。

Colymbetes pseudostriatus Nilsson, 2002

エゾヒラタヒメゲンゴロウ

北海道、青森県に分布する種の学名は当初 Colymbetes dolabratus (Paykull, 1798)Colymbetes tolli Zaitzev, 1907 が当てられたが、サハリン産を基に上記学名で記載された。

和名は 神谷 (1938) では、ヒラタヒメゲンゴロウ、オオヒラタヒメゲンゴロウがそれぞれ C. dolabratus, Colymbetes dahuricus Aubé, 1837 に対して使われていたが、分布知見が現在のものと矛盾しないので、 C. pseudostriatus に対して新たな和名エゾヒラタヒメゲンゴロウを使うのは妥当だろう。

Rhantus Dejean, 1833

ヒメゲンゴロウ属

極地を除き全球的に分布し、大洋島にも広く進出している。

2亜属に分けられていたが、 Nartus Zaitzev, 1907 は別属とされた ( Balke et al. 2017) 。

日本産4種。

Rhantus erraticus Sharp, 1884

オオヒメゲンゴロウ

オオヒメゲンゴロウ

木陰になった貧栄養な池や湿地に多い。サハリンからの古い記録があるがこれは疑わしく( Nilsson and Kholin 1994 ) 、現状では日本固有種の可能性が高い。

Rhantus suturalis (W. S. Macleay, 1825)

ヒメゲンゴロウ

ヒメゲンゴロウ空気交換中

北海道~八重山まで、国内では最普通種と呼ばれるほど普遍的。世界的にはシベリアを除く旧北区、東洋区、オーストラリア区。

その普通種も 2000年代に入って激減したが、一度張られたレッテルのためかあまり注目されない。

長く Rhantus pulverosus Stephens, 1828 の名で知られたが、現在は上記が有効名とされている。

Rhantus yessoensis Sharp, 1891

エゾヒメゲンゴロウ

エゾヒメゲンゴロウ

北海道では山地に普通。伊豆諸島でも一部で多いが、本州本土での記録は静岡県、宮城県など中北部に数か所のみ。そして九州の霧島山周辺(宮崎県、鹿児島県)と不可解な分布を示す。海外では中国、韓国。

ゲンゴロウ科

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